赤ちゃんラボ”にようこそ!~人の始まりを科学する~NHKより

 人が親になったとき、赤ちゃんを育てるのに、何も話せない赤ちゃんをどう扱ってよいのかわからないと誰でも思いますよね。ではそのヒントになる実験をNHKの番組からご紹介します。

 最初の実験は、生まれて生後1週間の赤ちゃんに対して、二つの異なる映像を見せ脳血流の酸素濃度を測定します。一つ目は天井から吊るされた回転するおもちゃ。もう一つは人の顔の映像です。おもちゃの時には、脳血流の酸素濃度は、ほんのわずかしか増えません。しかし人の顔では、どんどん酸素濃度が増えていくことがわかりました。上側頭部後部という人の感情を読み取ったり、うそを見破ったり複雑な心情を読み取る領域が働くことがわかりました。

 赤ちゃんは、生まれてすぐ人の顔に反応することを示しています。したがって赤ちゃんの目をのぞき込むことで、人間関係を育む脳の領域を育てることが出来るのです。

 2つ目は、最初の数分間、赤ちゃんを向き合って興奮気味にあやして遊びます。そして一旦顔をそむけて再び無表情の顔で2分間赤ちゃんを見続けます。すると赤ちゃんは声を出したり、腕を動かしたりしながら親の注意を引こうとする行動をとり始めます。それでも親が答えないと、周囲にいる人の注意を引こうとします。それでも無視され2分が経つ頃には、関心を向けてほしくてたまらなくなり泣き叫びます。ここで赤ちゃんに反応してあげると、笑顔が戻ります。

 赤ちゃんは、1対1の関係が壊れると自分から修復を試みることがわかりました。赤ちゃんには、社会的接触が必要で自分から求めていることがよくわかります。保護者との1対1の絆がどれほど重要かがわかりました。

 3つ目は、赤ちゃんがよいことと悪いことを見分けられるかどうか、人形劇を見せて実験します。赤い丸が坂を上ろうとします。そこへ青い四角が来て邪魔をします。そこへ黄色い三角が来て赤い丸を助けます。劇を見せた後青い四角と黄色い三角を並べて着せてどちらかを選ばせます。7か月から12か月の赤ちゃん全てが黄色い三角を取ります。

 つまり幼い赤ちゃんでも親が教えなくても物語を感じ取り何がよくて何が悪いか判断できているということです。善悪の判断は、人に助けられて嬉しいという感情がもとになっていると考えられます。

 4つ目は、“紙をびりびり破く遊び”、“布をもぐもぐする遊び”、“カップを頭に乗せてふざける遊び”、“ぬいぐるみで間違った鳴き声を出す遊び”、“いないいないばあ”の5つについて赤ちゃんが一番笑う遊びを調べました。最も笑ったのが“いないいないばあ”で、70%の赤ちゃんが笑いました。これは人との繋がりの遊びです。赤ちゃんは親とつながることが喜びになるのです。笑いの元は人とのつながりです。

 幼いころの社会的な交わりは、友達を作ったり学校で仲間とうまく付き合う際の行動の手本となります。

 このことから赤ちゃんの脳は人との関係が広がるにつれて劇的に変化することがわかってきました。