
7月号で私が『冷たい飲み物の摂り過ぎて腸が冷え腰痛になったこと』を載せましたが、8月は腸の働きが乱れて症状を訴える方が多く来院されました。
今年の夏は、過去最高の猛暑日の多さで氷を入れて冷えた飲み物を飲みたくなります。
暖かいものを飲んだり食べたりする気にはなれない気持ちはよくわかります。
善玉の腸内細菌の働きが弱くなると腸内の㏗が高まりアルカリ性になります。
アルカリ性になると日和見菌が悪玉菌の働きをするようになります。悪玉菌が増えると便秘や下痢を起こしたり、炎症を起こします。
悪玉菌が増えている場合は、おならが臭い、便が臭い、便の色が濃くなります。
昔の人は、梅干しを毒消しといって食事の時に食べていましたが、梅干しに含まれるクエン酸が、アルカリ性に傾いた腸を弱酸性に戻してくれます。
梅干しが苦手な方は、ググルとクエン酸水の作り方が出てきます。また、柑橘類やパイナップルに含まれています。
クエン酸のキレート作用(金属と結合する性質)よって侵入してきた大腸菌、サルモネラ菌、赤細菌の細胞が不安定になり弱体化していきます。
さらにこれらの細菌から生み出される毒素によって、引き起こされる脳や肝臓の酸化や炎症を抑制します。
またカルシウムの可溶性を高めることや食品添加物、大気汚染が原因で体に入った有害金蔵(カドミウム、水銀、ヒ素、アルミニウム、鉛など)を体外に排出します。
クエン酸を8日間摂取する比較試験をした結果、「クエン酸」による「肉体的疲労の軽減」や「生理的ストレスが軽減する」といった効果が示されました。クエン酸には疲労時に蓄積される疲れの原因物質である「乳酸」を分解する作用があるからです。
歯にも良い影響があります。
クエン酸は歯の再生を助ける成分を増やし、歯の神経損傷をカバーすると言われているからです。
クエン酸飲料をだらだらと飲み続ける事で、口腔内が酸性に傾き、虫歯になりやすい環境になると言われます。
口腔内でも良い効果のあるクエン酸ですが、過剰摂取にならないように注意してお使い下さい。
生後5か月くらいになると赤ちゃんは好奇心のおもむくまま、自分の気になる物などに手を伸ばして、触ったり、つかんだり、口に入れたがったりするようになります。
親は、「飲み込んだら危険」と思い奪い取ってしまったり、「汚い」と思いあらかじめ舐めそうなものを消毒したりしていると思います。
確かに、飲み込んでしまうと危険な場合がありますので、直径38ミリ以下の物は気を付けたほうが良いとのことです。
赤ちゃんは,まだ感覚がすべて発達していません。
神経発達から見ると「味」、「触り心地」、「噛んだ感じ」を調べるためと言われています。
さらに大事なこととして、「腸内細菌を増やす」ためです。
生まれたばかりのパンダの赤ちゃんは、土をなめたりお母さんのうんちをなめたりしています。
これは、笹を消化してくれる腸内細菌を増やすためです。
人間の子どもも、なめたり口に入れることで生活環境に存在している土壌菌をはじめとした様々な菌を取り入れることで、生きるために必要な腸内細菌を増やしています。
しかし、汚いからといって全ての物をアルコール消毒しがちです。
公園でも「砂場は、猫の糞があるかもしれないので汚いから遊ばせない」人もいるようです。
確かに命に係わる破傷風菌がいますが、予防接種で防ぐことが出来ます。
土壌には、子どもの免疫力や腸の働きに必要な菌が沢山います。
生まれたての赤ちゃんは無菌状態ですが、初乳を飲むことから始まり、様々な人や物、食べ物、土などの自然に触れることで菌を獲得していきますが、獲得する菌の種類は人によって違います。
赤ちゃんの腸内フローラは、生後1歳半でほぼ9割が決まってしまい、これが生涯の腸の土台となります。
3歳までは、腸内細菌の獲得活動は続きますが、それ以降は菌の種類は増えることはありません。
物を口に入れる行為は、味覚や触覚の発達によってなくなります。
赤ちゃんの腸内細菌の種類を増やすための行為を見守ってください。
参考図書:藤田紘一郎著「脳はバカ、腸はかしこい」