中学2年生の男の子が腰の痛みを訴えて来院しました。彼は、小学生の頃から野球をしていて、体も同級生に比べ大きいので期待の選手です。本人もホームランを打ちたいと思い毎日重いバットで早い素振りを繰り返していました。お母さんも無理な素振りの仕方は良くないと思っていましたが、本人はヘッドスピードを上げるためには必要な練習といって続けていました。腰の痛みの症状は、小学生の頃からまったく感じたことがなく、12月になって初めてランニングの後痛みを感じました。来院して数回施術を行い痛みが軽減してきましたが、野球の監督から勧められて整形外科でレントゲンを撮ってみたところ、第5腰椎脊椎分離症との診断。別の整形外科でも同じ診断が出ました。整形外科の先生から脊椎分離症は、背骨の骨折で骨折部分が離れすぎているので、もうくっつくことはないと告げられました。痛みが取れたら野球をしても良いといわれたそうです。現在は、快方に向かっていますが、先のことを考えると、分離症を理解することが大切です。
子供の分離症についてお話をしましょう。 子供の骨は、成長過程なので骨が大きく伸びるために、ほとんどの部分が軟骨で出来ていると思ってください。従って柔らかいので、曲がりやすく削れやすいのです。子供の腕や足の骨折でも若木骨折という表現を使うように、しなって曲がるように折れます。また、関節の無理な動きで関節面が削れて骨が薄くなっていきます。 脊柱の下部を腰椎と呼びますが、腰椎は、前後に動けるような関節になっていて、ねじる動きはわずかしかありません。バットスイングで身体をねじる動きは、ほとんどが骨盤の回転と腰椎の上にある12個の胸椎の回転の動きによって作られているものです。骨盤は、塊として動くのでしなやかなねじれる動きは、胸椎によるものです。バットを振り切ったときは、バットの遠心力で胸椎が能力の最大限まで動かされます。そのときに、腰椎まで回転させようという力が伝わってきます。しかし、腰椎の関節は、回転するようには出来ていませんから、関節の骨同士がぶつかり押し付けられてひねられます。このときに、骨同士が少しずつこすれて削れて行きます。関節部分は、腰椎の中でも厚みがないところです。関節部分の骨が、全て削れてしまうと骨が離れてしまいます。このことで分離症と名がついたのです。小学生のうちは、軟骨の度合いが高いためにレントゲン撮影をしても軟骨自体写りにくいので区別がつかず、中学生になったときに再び撮影すると骨折していたことが判るということがあると整形外科ドットTVの小味克己先生は述べています。 分離症は、痛みは改善しますが、骨折はそのままですので、今後痛みが再発する可能性を多く持っています。分離している骨が周りの靱帯や筋肉に支えられているときは、痛みを発することはありません。バランスを崩して滑るようにずれて来ると次第に神経痛を伴う痛みに成ります。これを回避するには、背骨を支える筋肉の働きを維持することが一番必要に成ります。また激しい運動や重量物の運搬には注意を払わなくてはいけません。一生分離症と付き合うことに成りますので、本人の意識が大切です。 子供は、運動しているときが一番楽しいものです。もっとうまくなろうと思っています。うまくさせてあげるのは大人の役割ですが、身体を守ってあげるのも大人の役割です。このようなことが起きる可能性があると頭に置きながら子供たちに指導をしてあげてください。
2007/02/12(月) |